七階。

中央線高架のふもとで本を読む、夢を見る。

セックス後にひとりで食べる、真夜中の塩バターラーメン/柚木麻子『BUTTER』

湯気を立てる真っ白なごはんの上で相好を崩し、じんわりと染み込むバター。そこにあまじょっぱいお醤油をひとさしして、舌の上に乗せた瞬間は何もかも忘れてしまうほどに幸せだ。 柚木麻子『BUTTER』のおかげで、幼い頃食べていたバター醤油ごはんに10年以上…

いったい私は夢をみたいのか生き延びたいのか/今日マチ子『もものききかじり』

美しいもの、光るような刹那、空想が好き。 そんな自分だから、願わくばいつまでも夢を見ていたいと思う。 生活、と聞くと、所帯じみるのが嫌とか、そんな反抗的な気持ちがすぐに浮かんできてしまう。 会社勤めもあんまり好きじゃない。調子がいい時は良い(…

恋をしたらどうしておいしいものがつくりたくなるんだろう。~平松洋子『よい香りのする皿』

私がエッセイを楽しめるようになったのは、就職が始まってしばらくしてから、もしくは会社に入って1・2年経った頃だったように思う。 それより若い頃は、エッセイが読めなかった。 本屋さんや図書館で、エッセイの棚は完全スルー。小説が好きで好きで、フィ…

「パン屋」と聞くと、襲撃する? と言いたくなる~村上春樹『パン屋再襲撃』を読み聞かせてもらった夜~

近所にパン屋ができそうである。 道路側の壁を取り外し、洞窟のようにぽっかりと口を開けた空きテナントに、銀色のオーブンやらなんやらが運び込まれ、次の日には壁が取り付けられ、その次の日には白い木目調に塗られておしゃれな雰囲気になった。 パン屋と…

本の置き場所問題~誰にも見せられない本~

図書館から返却催促ハガキが来てしまった。 今まで、返却催促は電話でしか受けたことがなかったから、電話の次はハガキが来るのか……と思いながら眺めた。反省はしている。 ところで、ハガキに書名が書かれていない。よく読むと、書名はプライバシー保護のた…

花粉症にはあの有名冒険小説。『文学効能辞典』~あなたの悩みに効く小説~

自分の中に、悩みのミルフィーユが存在することを最近発見した。 こんな感じである。 突発的な生活の悩み(身体の不調、仕事のミス)>恋愛・人間関係 > 将来への不安 >過去への葛藤 >etc…… 身体が元気なときは恋愛で悩み、将来への興味が薄い時は過去を…

宇宙服へ変態する妻の身体。岸本佐知子編『変愛小説集』~僕らが天王星に着くころ~

文脈の通り、ここでいう「変態」は、変態性欲の略ではない。 岸本佐知子編『変愛小説集』の現代欧米作家編、日本作家編を私は吉祥寺の古本屋、バサラブックスで購入した。 明るい木目が印象的な棚が天井まで立ち並ぶ、小綺麗なお店だ。吉祥寺の公園側に行き…

開設に寄せて

名前:瀬川 片手間会社員。好きなのは本とお酒と茶道と中央線高架上から見る景色。 高いところが好きなのかもしれない。(七階在住) 今年の目標は本を100冊読むこと。 本の感想、中央線周辺をぶらぶらした風景、そんなものを書き綴ります。